(2ー1)土壁

実験住宅の例では、地下室を掘ったときの土を用いて、2x4の木構造を基に、両側から土壁を施工した。 日本の伝統である木舞下地を試みたが、作業時間が大変かかることが分かったので、東側内壁の一部分だけに 断念し、他は西洋式の木ズリ下地とした。さらに、粗壁は粘土とスサによる日本式を試みたが、 不十分な議論の過程で、砂が若干混ぜられた。その後の2重層にはセメントも混ぜられ、統一的な概念での 施工にはならなかったのが残念である。施工例を次図に示す。

    
日本式の壁の基本は、粗壁には粘土とスサのみで乾燥を待つ。木舞の裏にはkeyができ、表面には乾燥により 亀裂が出来る。その亀裂が次の層へのkeyになる。2層目は砂を少し混ぜるので、その表面での亀裂は細く なるがやはりkey用の亀裂を形成する。仕上げ層は、粘土に細かい繊維、砂、ふのり(あるいは粥)を混ぜる。 仕上げ層にセメントを混ぜると、粘土は水を出そうとするし、セメントは水を取り込んで結晶水を作ろうとする から、ゆっくり乾燥させないと大きな亀裂が出来るので注意が必要である。 2x4により断熱用の空気層が取れ、そこには種々の対流を阻止する材料を試みた。新聞紙を丸めたもの、 プラスチックを丸めたもの、茅(bulrush)、グラスファイバー、羊毛、単なる空気層、と異なった充填材を入れ、 今後それらの場所で熱流や熱貫流率を測定し、比較検討したい。なお、この住宅では、開口部での熱流が 室内気候を大きく左右するとして、3重の窓、扉を施工しており、これらも今後室内気候との関連で議論をする。 中に入れた茅の熱伝導率を、0.063とし12cm厚の茅を入れたときの土壁の熱貫流率は、0.43となった。 よく用いられる新建材による壁と等価な値であり、古来の手法によっても十分熱的に快適な室内環境を 確保することが出来るといえよう。


施工 の様子

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(2) 住宅が使命を終える時、地球に優しく帰ってゆく材料を、その地から得て使う。