(1−2)地中熱利用による室内の空調

通常の熱伝導率を持つ土では、地表面より8m位の位置では、地表面の空気温度の年間の平均値を示す。 その温度を利用できれば、夏涼しく、冬暖かい。その時の熱交換のために地中に埋設する空気ダクトを クールチューブと呼ぶ。日本のように、夏高温、冬低温という所では有効である。これも地球の熱容量を 介しての太陽エネルギーの利用である。

実験住宅では、先に示した様に、屋根部にソーラールームと呼ぶ浮力を得るための部屋を設けている。 外気に面する窓は二重ガラス張り、住宅内部との境界は60cm厚に羊毛を充填し断熱した部屋となっている。 上部には煙突があり、この部屋の床から入る空気が出てゆく。したがって、夏暑ければこの部屋の空気温度が 上がり、軽くなってより多くの浮力が得られ、地下室からのより多くの冷たい空気が居室部へ流入する はずである。
この理屈は、次の三つの式をつなぎ解くことによって示される(簡略化して示した図を参照)。



熱伝導の式



室の熱収支式





 ベルヌーイの式
  

 



多数室の場合は、各部分の流速が自乗になっているので、出入りによる符号の変化を明確にせねばならない。 我々の数値計算においては、各出入口での流速に符号の組み合わせを与え、正しい組み合わせを見つけながら、 連立方程式を解き答を求めている。また、多種の層状の壁についてはたたみ込み積分によりそれ一つの常数値に 置き換えて、計算時間の短縮の努力をしている。日射については、壁に対する日影曲線を求め等価外気温を 計算した。外部風速については、各壁面の外部風圧を実験式1)で求め、自然換気との重ね合わせで上記3式 により解いた。 1)M.V.Swami and S.Chandra;"Correlations for pressure distribution on buildings and calculation of natural-ventilation air flow", ASHRAE Transactions,243-266,1988.

この地中熱利用による手法においては、夏冬両方の季節について使用しなければ、 一方のみだと他方の条件が悪くなる。この方法では、絶えず外気との換気だから、その時の空気は 何時も新鮮だ。夏の地下室での除湿は場合により必要だろう。多孔質性の自然に優しいものを探している。
ソーラールームの床には、6個の水槽が並べてあり、夏の日没後の浮力を得る。その温水は、 浮力を得るという目標を阻害しない範囲で、シャワーや皿洗いにも使われねばならない。(後述する。)

次に、 夏、冬それぞれのある一日の室温変化を計算値と共に図に示す。

夏のある日の室内の温度変化(点線は先の式によって計算された結果)

冬のある日の室内の温度変化(点線は先の計算式によって得られた結果)

冬季は日平均気温よりも室内は数度高い。外気が0度近くでも10度近辺を保っている。しかし、日中の外気の 高温を取り込めなくなっているのは改善されるべきである。この地の場合、庇を短くし、日射を取り込むことが 先ず考えられる。その他、外で集熱した熱量を室内で解放する方法も考えられよう (多孔質による集熱の項参照)。
ヒートアイランドを呈している日本の都市部では、ことに、昔の熱環境に戻るまではこの方法が有効となろう。